当サイト開設後10本目になる今回の記事。
これは、以下の2本の日経の過去記事が起点です。
・人生100年、恋せよミドル マッチングアプリ「ラス恋」登録6倍 – 日本経済新聞。(2025年2月16日掲載)
・結婚相談所・アプリ… シニアの婚活、費用を知る – 日本経済新聞。(2023年5月14日掲載)
この2つの記事と、当サイトの前回の記事。
⇒令和の結婚観とこれからの課題|生成AIで読み解く価値観の変化と少子化問題 – 結婚家族.com。
これらを結びつけ、新サイトの助走期間を締めくくるというものです。

はじめに|「婚活」は「全世代」に共通のライフスタイルに
これまで「婚活」は主に20〜30代の若年層を中心とするライフイベント。そう見なされてきました。
しかし、令和の時代を迎えた今、婚活は明らかに世代を越えて広がりを見せています。
一つのライフスタイルと言えます。
生涯未婚率の上昇、熟年離婚の増加、平均寿命の伸長に伴う人生設計の見直し。そしてコロナ禍による孤独感の高まり――。
これらの要因により、「第二の人生におけるパートナー探し」というシン婚活ニーズが顕在化。
それでは、先の日経の2本の過去記事を軸に、進行中の中高年層の婚活市場の動向を紹介。
そして当サイトの「令和の結婚観」を論じた記事と関連づけます。
婚活がもはや年齢や世代に制限されるものではなくなりつつある。その現実とこれからの動向について掘り下げていきます。

中高年にも広がる「第二の人生」のパートナー探し
ラス恋アプリに見るミドル世代の熱意
2025年2月の日経記事によると、ミドル・シニア世代による婚活・恋活が加速しています。
婚活大手IBJでは、40代以上を対象とした婚活パーティーの開催数が急増。
特に注目されているのが、40代以上に限定したマッチングアプリ「ラス恋」の動向です。
2023年10月に首都圏限定でスタートした同サービス。これがわずか4カ月で登録者数が6倍に。
2024年1月には全国展開を開始し、50代以上の利用者を中心に支持を広げています。
アプリは本人確認や独身証明書の登録機能を備え、安心して出会いを求められる設計に。離婚経験者や死別者、長年独身で暮らしてきた人々の“再出発”を後押ししています。
ある52歳女性。28歳の息子と二人暮らしで、趣味を楽しみながら過ごしてきた。しかし、コロナ禍を機に人とのつながりが希薄になったことをきっかけに「ラス恋」へ登録。「誰かにドキドキできる気持ちが人生のエネルギー」と語っています。
婚活パーティーという“リアルな出会い”の場
アプリだけでなく、婚活パーティーのニーズも根強く存在します。
中高年層においては、「直接会って話すこと」を重視する傾向があります。
IBJでは2024年、40代以上向けのパーティーを年間8000件以上開催。配慮しているのが、会話重視・雰囲気重視の空間設計や、気軽に参加できる雰囲気づくり。中高年層の参加を後押しする重要な要因となっています。
56歳女性は、離婚を機にパートナー探しを再開。「娘からも『行ってきたら』と背中を押された」と、家族の理解も広がっている様子が伺えます。
60歳男性。恋愛への熱意を隠さず、「人生の終わりが見えてきて、生涯をともにするパートナーがほしい」と。
中高年婚活は、決して後ろ向きなものではない。「これからの人生を誰かと歩みたい」という前向きな行動でもあります。

コロナ禍が生んだ「孤独の共有」と婚活意識の転換
2023年3月の日経記事。
64歳男性が中高年向け結婚相談所「茜会」に入会した事例が紹介されています。
10年以上前に離婚し、一人暮らしを続けていた彼が婚活を再開した理由は「コロナで孤独が身に染みたから」。
このように、コロナ禍は人々の対人関係や人生観に大きな揺さぶりをかけたのです。
結婚相談所「パートナーエージェント」が50代以上の未婚者を対象に行った調査。
コロナ後に「孤独を感じるようになった」と回答した人は約3割にのぼります。
孤独感が中高年層の婚活意欲を刺激。それにより「ひとりの老後」への不安が「誰かと支え合う未来」への期待に。こう変化しているというわけです。
⇒ 結婚情報サービスの『パートナーエージェント』♪
そして「結婚=生涯の約束」ではなく、「事実婚」や「生活パートナー」など多様な関係性が選ばれるように。
これは令和的な結婚観──関係の形式よりも実質を重んじる傾向──と合致するものです。
婚活サービスの選択肢とその特性
結婚相談所:手厚い支援と信頼性
中高年の婚活で根強い人気を誇るのが結婚相談所です。
「茜会」では、65歳以上は初期費用を割引。紹介人数に応じた月会費、見合い時の手数料といった明確な料金体系が設けられています。
また専任カウンセラーのオプションもあり、マンツーマンで婚活をサポートしてもらえます。こうした点は、年齢層が高い利用者にとって安心材料となっています。
結婚・婚活サービス大手の「パートナーエージェント」。AI活用のマッチングや、専用サイトでの検索機能など、デジタル技術を活かしたサポートも。服装コーディネートやプロフィール写真撮影、第一印象を高めるためのオプションも用意。50代以上の利用者に支持されています。
マッチングアプリ:手軽さと拡張性
一方で、マッチングアプリは費用対効果の高さと手軽さが魅力です。
「マリッシュ」は、40代以上の利用者が6割、会員数は270万人超。月額3400円(男性のみ)のリーズナブルな価格でサービスを提供。登録無料・スマホ完結のスタイルが多忙な中高年層にも受け入れられています。
⇒ 婚活・恋活・再婚活マッチング「マリッシュ(marrish)」/R18
「ラス恋」では、50代の利用者が中心で、子持ちの登録者も6割を占めます。
アプリ内では趣味や価値観の相性を可視化できる機能や、AIによるロマンス詐欺対策を導入。シニア世代が安心して使える設計が進められています。
また、プロフィル写真の撮影をAIがサポートする機能も話題に。
表情や距離感、背景などに応じて「再撮影」を提案。それにより、撮り慣れていないユーザーでも好印象なプロフィールを作成できるようになっています。
「令和の結婚観」と裏表一体の関係
本サイトで前回取り上げた記事「令和の結婚観とこれからの課題」
⇒ 令和の結婚観とこれからの課題|生成AIで読み解く価値観の変化と少子化問題 – 結婚家族.com。
その中では、熟年離婚の増加、単身者の増加、非婚化などの構造的課題を紹介しました。
一見すると、これらは「結婚を避ける傾向」に見えますが、実際には「結婚を問い直す動き」も伴っているとも考えます。
人生100年時代において、一度きりの結婚ではなく「必要に応じて関係性を選び直す」という選択肢が広がっています。
中高年の婚活は“再スタート”の機会として社会に根付きつつあります。それは、個人の意識においても、です。
当然それは、「結婚」の在り方、「生き方」の見直しに変化が見られることでもあります。
つまり、婚姻制度から距離を取る人々の存在と、中高年の婚活ニーズは対立するものではなく、表裏一体。
どちらも「結婚」「婚活」を「自分らしい人生」を追求する中での多様な選択肢としていることなります。

結びに|「関係を選び直す時代」「もう一つの生き方を実現する時代」へ
年齢に関係なく、一人ひとりが自分のペースで生き方や関係を見直す時代、やり直す時代。
婚姻は必ずしも一生に一度きりの“契約”ではない。人生の節目ごとに再構築される“関係の形式”としてとらえ直されているのです。中高年層の婚活・結婚は、単なる再婚や恋愛を超えた、多様な人生観の表現の一つ。その方法でもあるのです。
「話し合える誰かとこれからの生活を送りたい」、「対等なパートナーとして支え合いたい」。と願う声は、これからますます社会のなかで可視化され、肯定されていくことでしょう。
自信と信念を持つ、自分なりの価値観を明らかにして、これからの人生を歩む。
とても望ましく、大切なことを思います。
本サイトでは、こうした「関係性の再考」「生き方の再編集」にも注視。それを実現するための婚活サービスや支援制度の紹介にも取り組んでいきます。
6月からは、具体的な婚活サービスの紹介を、活用事例、選び方、注意点など含めて行います。
また、結婚だけにこだわらず、ソロとしての人生も、家族をもつ人生も。
誰もが自分に合った方法で、自分が望む方法で、“人生の新たな一歩、もう一つの人生”を踏み出せる。
そのために少しでも役立つWEBサイトを目指したいと思います。

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